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心をほどくアート

 皆さんの扇子が仕立て上がりました。自由で伸びやかで、季節を問わずに使えそう。昨今は、お喋り時にお口を覆う道具としても注目を集めているらしく、早速、この冬からでもお使いいただけそうです。皆さんのを見ていると、私のは季節感に縛られたものになりました。心の縛りは知らず識らず。自由や拓く力を妨げます。

 

 先日、息子と音戸の街を巡るツアーに参加しました。ほんの少しだけスケッチの時間がありました。息子から離れないようにという心の縛りの中、両方の橋は入らないしと、片方の橋を描きました。ま、こんなものかなと思い、ふと息子の絵を見ましたら、一つの画面に新旧両方の橋を描いてあり、それが、音戸の特徴として説明を受けた時の感動そのままを映し出していると感じ、頭をガンと打たれた気分でした。大人は上手く描こうとする方へ引っ張られがちです。目指すべきは、上手い絵ではなく良い絵。

 

 先月、ジェンダーハラスメントとアートに関する講演会を聴講してきました。心の奥に潜む性の縛りは、アート作品がよく伝えます。時代や国、政治や経済、宗教や思想などが正しさや美しさを決定してしまうこと、時を経て、アートがそこにある洗脳の実態を鮮やかに映し出してくれます。ちょっと怖いですが、ありがたいですね。

 

 人々に、真実を伝える、それが芸術。

 悩める人が、良質なアートを目の前にした瞬間、心の縛りが解けて楽になっていく姿を目の当たりにすると、学芸員の方々が口を揃えて言われます。

 芸術の恩恵、限りなく深く。コロナ禍、不要不急の存在になりようもなく!

 

  今年もお疲れさまでした!